社会とデザインの実践論

NPO広報担当者のための、誰でもできる!伝わる図解・インフォグラフィックの基本

Tags: インフォグラフィック, 図解, 情報整理, 視覚伝達, NPO広報

NPOの広報活動において、事業内容や活動成果、あるいは社会課題の現状といった情報は、時として複雑で多岐にわたります。こうした情報を文字だけで伝えようとすると、読者が内容を理解しきれなかったり、途中で読むのをやめてしまったりすることがあります。

そこで有効な手段の一つとなるのが「図解」や「インフォグラフィック」の活用です。これらは、複雑な情報を視覚的に整理し、分かりやすく伝えるためのデザイン手法です。デザインに専門知識がないNPO広報担当者の方でも、基本的な考え方と簡単なステップを踏めば、伝わる図解・インフォグラフィックを作成することができます。

この記事では、NPO活動における図解・インフォグラフィックの活用シーンから、伝わるデザインを作成するための基本的な考え方、そして非デザイナーでも実践できる作成ステップをご紹介します。

図解・インフォグラフィックとは何か? NPO活動での活用シーン

図解やインフォグラフィックとは、データや情報、知識を視覚的に表現したものです。グラフ、図、イラスト、アイコン、テキストなどを組み合わせて、伝えたいメッセージをより分かりやすく、印象的に伝えます。

NPO活動においては、以下のような様々な場面で図解・インフォグラフィックが役立ちます。

これらの活用例からもわかるように、図解・インフォグラフィックは、活動報告書、ウェブサイト、SNS投稿、広報チラシ、説明会資料など、様々な広報ツールで効果を発揮します。

伝わる図解・インフォグラフィックのための3つのステップ

デザインの専門知識がなくても、以下の3つのステップを意識することで、伝わる図解・インフォグラフィックを作成することができます。

ステップ1:情報を整理し、核となるメッセージを明確にする

まず最初に、図解やインフォグラフィックに盛り込みたい「情報そのもの」を徹底的に整理します。

このステップが最も重要です。情報が整理されていないと、どれだけ見た目を整えても伝わるデザインにはなりません。

ステップ2:表現方法を選ぶ(図解の種類を知る)

整理された情報と核となるメッセージに基づいて、最も適した視覚的な表現方法を選びます。様々な種類の図解やインフォグラフィックがありますが、非デザイナーの方が始めやすい基本的なものをいくつかご紹介します。

伝えたい情報の性質に合わせて、これらの基本的な表現方法の中から最適なものを選びます。複数の種類を組み合わせることも可能です。

ステップ3:デザインの基本要素で視覚化する

選んだ表現方法に従って、整理した情報を視覚的に配置していきます。ここでは、プロのデザイナーのような高度な技術は必要ありません。以下の基本的なポイントを意識するだけで、見違えるほど伝わりやすくなります。

これらのデザイン要素は、情報を整理した構造に合わせて配置していく「入れ物」のようなものです。情報構造をしっかり決めた上で、分かりやすく見せるための工夫として活用します。

簡単なツールで実践!非デザイナーにおすすめの作成方法

高度なデザインソフトがなくても、身近なツールを使って図解・インフォグラフィックを作成することは十分可能です。

これらのツールを活用する際も、上記のステップ1〜3で解説した「情報整理」「表現方法選択」「デザイン要素の意識」を忘れないことが重要です。ツールはあくまで手段であり、最も大切なのは「何をどう伝えるか」という情報設計の部分です。

デザイナーに依頼する場合のヒント

自分たちだけでは難しい、より専門的で複雑なインフォグラフィックが必要な場合は、デザイナーに依頼することも検討できます。その際も、ステップ1でご紹介した「情報の整理」が非常に重要になります。

デザイナーは、与えられた情報を基に最適な視覚表現を提案し、プロの技術で質の高いデザインを作成してくれます。しかし、依頼する側が伝えたい情報の核や目的を明確に整理できていないと、期待通りの成果物を得ることは難しくなります。

依頼する際は、以下の点をデザイナーに具体的に伝えると良いでしょう。

情報の整理は、デザイナーとのスムーズな協働の第一歩となります。

まとめ:デザインは情報を「伝わる」形にするツール

図解やインフォグラフィックは、NPOの複雑な活動や成果を、より多くの人に、より分かりやすく伝えるための強力なツールです。デザイン知識がないと感じているNPO広報担当者の方でも、「情報を整理する」「適切な表現方法を選ぶ」「基本的なデザイン要素を意識する」という3つのステップを踏むことで、十分に伝わるものを作成できます。

ご紹介したCanvaやPowerPointといった身近なツールを活用し、まずは小さな情報から図解化に挑戦してみてはいかがでしょうか。デザインは単なる装飾ではなく、伝えたい情報を最も効果的な形で届けるための手段です。ぜひ、皆様の活動をより魅力的に伝えるために、図解・インフォグラフィックの活用を始めてみてください。