社会とデザインの実践論

NPO広報担当者のための、メッセージを瞬時に伝えるアイコンの選び方・使い方

Tags: アイコン, ビジュアル, 情報伝達, NPO広報, デザイン活用

はじめに:なぜNPOの情報発信にアイコンが有効なのか

日頃、団体の活動内容やイベント情報を伝えるために、チラシやウェブサイト、SNS投稿など、様々な媒体で発信をされていることと思います。限られた時間やスペースの中で、伝えたいメッセージをいかに分かりやすく、多くの人に届けるかという課題は常に存在します。

デザインの知識がない中で、視覚的に分かりやすい広報物を作るのは難しく感じられるかもしれません。しかし、グラフィックデザインの要素の一つである「アイコン」は、専門的なスキルがなくても、情報伝達の効果を大きく高めることができる強力なツールです。

アイコンは、言葉だけでは伝わりにくい概念や情報を視覚的に表現し、メッセージを瞬時に理解させる手助けをします。特にNPOの活動は多岐にわたり、抽象的なテーマを扱うことも少なくありません。こうした情報を、視覚的な手がかりであるアイコンを使って整理することで、受け手は内容をより早く、正確に把握できるようになります。

この記事では、デザインの専門知識がないNPO広報担当者の皆様が、アイコンを効果的に活用し、情報発信の質を高めるための具体的な方法をご紹介します。

アイコンがメッセージ伝達に役立つ理由

アイコンが情報伝達において有効な理由はいくつかあります。

NPOの活動をより分かりやすく、魅力的に伝えるために、アイコンは非常に実践的なデザイン要素と言えるでしょう。

伝わるアイコンの「選び方」

アイコンを効果的に使うためには、適切なものを選ぶことが最初のステップです。やみくもに選ぶのではなく、いくつかの視点を持って探すことが重要です。

  1. 伝えたいメッセージに合っているか: 最も基本的な点です。そのアイコンが、あなたが伝えたい意味や概念を正確かつ適切に表現しているかを確認します。例えば、「寄付」を促す際に、単なるお金のアイコンではなく、支援する手やハートなどのモチーフが入ったものを選ぶことで、より温かいメッセージを伝えることができるかもしれません。
  2. ターゲット読者にとって分かりやすいか: あなたが発信する情報を受け取る人々が、そのアイコンを見て意味を理解できるかが重要です。専門用語に関連するアイコンや、特定の文化圏でしか通じないようなアイコンは避けた方が無難です。年齢層や背景も考慮して、広く認知されているシンボルに近いものを選ぶように心がけましょう。
  3. デザイン全体のトーンやスタイルに合っているか: 使用するアイコンのスタイル(線画、塗りつぶし、丸みを帯びた形、角ばった形など)は、既に存在する団体のロゴやウェブサイトのデザイン、あるいは今回作成する広報物の全体的な雰囲気に調和している必要があります。異なるスタイルのアイコンを混ぜて使うと、全体のデザインに統一感がなくなり、かえって分かりにくくなることがあります。
  4. 利用規約(ライセンス)を確認する: インターネット上には無料または有料で利用できる様々なアイコン素材があります。利用する前に、その素材の利用規約(ライセンス)を必ず確認してください。商用利用が可能か、クレジット表記は必要か、改変は許されるかなど、条件は素材ごとに異なります。NPOの活動で利用する場合、通常は「商用利用可能」なライセンスが必要です。信頼できる素材サイトを利用し、規約を遵守することが、著作権侵害などのトラブルを避けるために非常に重要です。

無料アイコン素材サイトとしては、Flaticon、ICOOON MONO、イラストACなどがありますが、利用規約は定期的に変更される可能性があるため、利用前に毎回確認する習慣をつけることを推奨します。

アイコンの具体的な「使い方」実践

適切なアイコンを選んだら、次はそれをどのように活用するかです。 NPOの広報担当者がアイコンを使える具体的なシーンをいくつかご紹介します。

デザインツール(Canvaなど)を使用している場合、多くの場合、ツール内に豊富なアイコン素材が用意されています。これらのツールでは、アイコンをドラッグ&ドロップで配置したり、サイズや色を簡単に変更したりできます。アイコンの色を団体のブランドカラーに合わせるだけで、広報物全体の統一感を高めることができます。

アイコン活用における注意点

効果的なアイコン活用のためには、いくつかの注意点があります。

これらの点に注意することで、アイコンを単なる飾りではなく、情報伝達を助ける有効なツールとして活用できます。

まとめ:アイコンで情報発信をレベルアップ

アイコンは、デザインの専門知識がないNPO広報担当者にとっても、団体の情報発信力を向上させるための、身近で強力なツールです。メッセージを瞬時に伝え、情報を視覚的に整理し、広報物全体に統一感をもたらすことができます。

適切なアイコンを選び、利用規約を確認し、伝えたい情報に合わせて適切に配置することで、あなたの発信するメッセージはより多くの人に、より正確に届くようになるでしょう。

まずは、現在作成している広報物やウェブサイトの中で、「ここはアイコンがあればもっと分かりやすくなるかもしれない」と感じる箇所を見つけてみてください。そして、この記事でご紹介した選び方や使い方を参考に、ぜひアイコン活用に挑戦してみてください。少しの工夫で、情報発信の効果が大きく変わることを実感できるはずです。